ハロハロ
すさまじい被害をもたらした台風ヨランダ。中心気圧895ヘクトパスカルなんて想像を絶するものだ。フィリピンは台風の発生海域間近に位置するから年間20近くが接近する。シーズン終盤に南よりで発生した強い台風が近年、西に進路を取り災害にぜい弱な南部に襲来、大きな被害をもたらしている。センドン、パブロもそうだった。
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台風直撃は経験がなかった。ところが2006年9月末、ミレニオが首都圏を直撃したとき、マカティ市のホテルに居て初体験した。すごい風台風でP・ブルゴス通りを滝のように風雨が落下してくるのが部屋の窓から見えた。ホテル入り口では風の猛威に4、5人のガードマンが必死で自動扉を支えている。しかし、締まったドアの下から木の葉混じりの雨水が吹き込んで床は水浸しだ。
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台風通過後、ジュピター通りに出たら倒木が道路を遮断している。会社では緊急協議をしていた。印刷会社の屋根が吹き飛んで作業は当分不可能だと。阪神淡路大震災のときでさえ神戸新聞は一日も休刊しなかったのに、マニラ新聞は台風でお休みか、と一瞬心配した。雨よけのシートで応急処置した印刷会社の努力で翌日の新聞はなんとか発行されたのだった。比のどこかで毎年、悲劇は繰り返されている。台風を回避する道はない。被害をいかに最小限にとどめるかが鍵だが、いつも後手に回るばかり。地勢的不利を補うような対策は皆無ではないか。(紀)