国民の声を聞け
公金不正流用
大統領のテレビ演説を多くの国民が待ち望んでいた。私も大統領がこの国の政治生命にとって欠かせない何かを言うと期待していた。息をのんで聞き入っていたわれわれは深く失望した。
大統領は13分の中継枠を使い、支出促進計画(DAP)など大統領の裁量的予算に対する、「不当な批判」から自身を擁護した。特権を行使し初めて民放各局に時間を確保させたのは、メディアへの説明を任せているはずの大統領府報道班に対する信頼が薄らいだ証拠だ。
「私は泥棒ではない」と、大統領は怒りを押し殺すように話した。どうも分かっていない。誰も泥棒とは言ってないが、あなたは半分以上が政治家の懐に入る数10億ペソの公金を承認することで、不正流用をほう助しているのだ。大統領と予算管理長官、国会議員らに対する非難は、裁量的予算の不正流用と、大統領がかたくなにその不誠実な制度を守り、国民から血税の恩恵を奪っている点に向けられている。
「まだ分からんのか」。私を含め、大統領の演説に対する大半の反応だ。演説では政治的手腕に欠け、批判にさらされ続けている大統領の姿がさらに増幅された。国民が聞きたかった改革への意思は示されなかった。
国民はまず、大統領に、真っ直ぐで狭い道を歩みながら石につまづいたことを認めてほしかった。そして、上院議員らにさらなる報奨を与えるDAPを含む裁量的予算の廃止。さらに、根強い汚職と不適任者を排除するため、内閣を改造することを求めている。これを実施すれば、改革と、行政を担う仲間への警告に大統領が本気だと伝わるだろう。経済界、与野党からも政治的立場に関係なく、不正流用に関与した人物の責任を問うよう求める声が上がっている。(2日・スタンダードトゥデー、アレハンドロ・デルロサリオ氏)