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5月27日のまにら新聞から

遅れる撲滅への対策

[ 724字|2013.5.27|社会 (society)|新聞論調 ]

新生児破傷風

 外貨建て長期債の投資適格級を獲得し、フィリピンは今、アジア各国の中でも好調な経済成長を続けている。しかし、多くの指標は、成長の恩恵が一般国民に浸透していないことを表している。世界保健機関(WHO)の調査結果が、その一例だ。フィリピンでの妊産婦・新生児破傷風(MNT)の撲滅対策は、アフリカ各国を含む多くの発展途上国より遅れているというのだ。

 WHOの提唱で、1999年から52カ国に住む、出産適齢期の女性約1億2千万人に、MNTワクチンが、単価2ドルで接種されてきた。フィリピンを含む59カ国がこの病気を撲滅する運動の優先実施国に指定された。しかし、フィリピンは疾患が撲滅されていない28カ国に残ったままだ。

 未消毒の医療器具で、へその緒を切られるなど、不衛生な環境で生まれた子供は、もっともMNTに感染しやすい。

 この疾患は「貧困病」ともいえる。しかし、中国、バングラデシュ、イラク、カメルーン、コンゴ共和国、ルワンダ、ウガンダ、ジンバブエ、リベリアなどの優先実施国が、この疾患の根絶に成功している。その多くは、フィリピンより貧しい。

 フィリピンは今でも、アフガニスタン、アンゴラ、中央アフリカ、ソマリア、スーダン、南スーダン、イエメンなど27カ国と共に、優先実施国から外されていない。

 この国の貧困を大幅に減少させるには、長い時間がかかるだろう。ただ、幼児が敗血症で死んでいくような、過密な病室をなくすなど、医療施設の衛生状態を改善することはできる。

 MNTワクチンをフィリピン全土で百パーセント接種することも可能である。「貧困の撲滅」が実現しなくても、他の国が示したようにMNTは撲滅できるはずだ。(23日・スター)

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