貧困学生への支援拡充を
国立大女学生の自殺事件
国立フィリピン大学マニラ校の女子学生(16)が学費支払い猶予を大学側に拒否されたため自殺したとされる事件で、大学当局を批判することはフェアだろうか。事件後に大学当局が公表した記録などを見ると、大学側に明らかな落ち度があったとは必ずしも言い切れない。
アグルト同大学長によると、大学当局は女子学生の両親らによる学費支払いの延期要請を3回にわたり認めている。また、学生の家族の支払い能力に応じて設定している授業料の割引制度を適用し、女子学生の家族の支払い能力を再評価。最低水準の支払い区分に引き下げ、授業料免除と手当支給を受けられる手続きを認めたことも判明した。結局、女子学生が手続きに必要な書類を提出できなかったため、授業料免除が認められず、学費を支払えなかった学生が休学処分に課せられたのだ。また、大学側は昨年11〜12月だけで79人の学生に対し、学生ローンの返済期限延長を認めたことを明らかにし、大学当局が貧困学生に対して、常々、対策を取ってきたことを強調した。
しかし大学側の官僚的対応が救済制度の対象である学生の行く手を阻んでいるとの指摘もある。女子学生の父親が最近解雇され、パートタイムのタクシー運転手として働くなど収入が不安定であったことは事実だ。家庭事情の変化も考慮し対処できれば、学生を自殺に追い込まなくて済んだのではないか。
高等教育に対する国家予算は十分か、という問題もある。今年の国立大学向け助成金は前年比44%増の371億ペソに引き上げられたが、教育予算自体は国連の勧告する水準にまだほど遠い。特に貧困家庭の学生に対する支援拡充が必要だろう。(20日・インクワイアラー)