配給されない支援物資
食料強奪事件
台風パブロの被災者と左派系団体が2月26日、ミンダナオ地方ダバオ市の社会福祉開発省の地方事務所に押しかけ、援助食料を強奪した。彼らは自分たちの空腹と公務員の職務怠慢を訴えた。
ソリマン社会福祉開発長官は事件後「襲撃と略奪が宣伝に使われた」と語ったという。しかし、この発言には疑問を禁じ得ない。一体、この宣伝行動で誰が得をするというのか。
ソリマン長官とその部下は、飢餓が人々を突き動かした事実に気付かなければならない。災害の多いこの国で、救援物資の食料倉庫が襲われた先例はいくつもある。
数千人に上る被災者らは、事務所の外に野営して、政府の支援を求めていた。左派系団体によると、ソリマン長官は1月、コメ1万袋の供与を約束し、希望者は同省に登録するよう求めた。しかし、野営抗議が始まっても登録の相談に一切応じていないという。
両者は襲撃翌日の27日夜、話合いを持ち、被災者らは野営の中止、社会福祉開発省は救援物資の迅速な配布に合意した。双方はまた、襲撃事件の責任を問わないことで合意した。ところが、ソリマン長官は、左派系団体のリーダーを訴追する意向を表明した。
襲撃に参加した被災者によると、身分証明書を提示しないと、救援物資を受け取れない。「洪水で所持品を失ったのに、証明証は見せられない」と、被災者は不満たらたらだ。
こんなことでは、災害基金180億ペソや支援金の管理が心配だ。被災者の多くは、過去2カ月間に2回しか、救援物資を受け取っていないとも聞く。仮設住宅の価格つり上げや、救援物資の横流しも起きている、と住民は言う。
社会福祉開発省はただちに、支援の在り方を再検討すべきだ。(2日・インクワイアラー)