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1月28日のまにら新聞から

海外就労を見直せ

[ 708字|2013.1.28|社会 (society)|新聞論調 ]

アルジェリア人質事件

 アルジェリア南東部のイナメナスの天然ガス関連施設で、イスラム武装勢力に外国人ら多数が拘束された事件は、フィリピン外務省にとって新たな頭痛の種となった。

 報道によると、現段階で殺害された外国人の中に、フィリピン人海外就労者(OFW)2人が含まれているという。犠牲者はさらに増える恐れがある。

 現在、世界各地に900〜1100万人の海外就労者がいると言われている。母国で待つ家族の生活向上のため、孤独と戦いながら家族に送金している。

 イスラム武装勢力によって殺害される恐れがあると知りながら出国する海外就労者はいないし、家族も想像だにしていない。しかし、アルジェリアで起きたのはまさに、そんな事件だった。 

 このような事件が発生するたびに、自国の経済成長のために優秀な海外就労者を派遣してきた長年の政策に疑問が生じる。海外就労者の経済貢献に疑問の余地はない。彼らの送金によって、中央銀行の外貨準備高が増えるからだ。

 フィリピンの最も必要とする輸入必需品は石油であり、アルジェリアの天然ガス関連施設でこのような事件が起きたのは、皮肉というほかない。

 政府は今一度、海外就労者派遣について真剣な見直しを迫られている。危険な中東地域ではなく、武装勢力による人質事件が発生しない日本や中国などの未開拓市場があるではないか。経済成長で国内雇用がさらに創出されれば、海外で就労する海外就労者が帰国して働くことも可能だ。

 リスクを伴う海外就労者派遣は再考すべきだ。代償が見合わない場合があるからだ。アルジェリアで犠牲になった海外就労者の遺族は今、その意味を十分すぎるほど理解している。(19日・タイムズ)

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