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1月28日のまにら新聞から

ご主人様のいいなり

[ 715字|2013.1.28|社会 (society)|新聞論調 ]

米軍艦座礁問題

 中国艦船がフィリピン領海を侵犯すると、アキノ大統領と政府高官たちは中国政府を徹底的に批判する。しかし、米国の原子力潜水艦の停泊や米海軍の掃海艦座礁の場合は、話が別のようだ。

 現政権は、米掃海艦が事前に、トゥバタハ岩礁海域に入る許可を申請したと主張している。米政府を擁護するため、白々しい嘘をついたのは明白だ。たとえ申請があっても、世界自然遺産で保護海域だから、許可は下りるはずがない。

 同岩礁を管理する当局者は、事前に警告したが、米掃海艦は無視し「米大使館に言え」と反発したという。フィリピン人に対する米国人の優越感は理解できない。

 米原子力潜水艦の入港についてアキノ大統領は「寄港するだけだから、許可した」と説明した。外国の軍事基地を禁じる共和国憲法に関しては「恒久基地ではない」とする米国の主張をオウム返しするだけ。米国がミンダナオ地方に基地を設置し、米軍が駐留し続けているのは明らかだ。

 フィリピンに傲慢な態度を取り、その主権を侵害しているのに、大統領府は米国にひたすら服従している。政府高官は、米国の失態をもみ消し、擁護する。

 アキノ大統領は、西フィリピン海(南シナ海)領有権問題では、中国に強気な発言をする。米国による後押しを確信しているからだろう。それは思い違いだ。比米両国は相互防衛条約を結んでいる。しかし、米国がフィリピンのために戦ったことは一度もない。とりわけ、相手が経済、軍事大国になった中国となると、今後も戦うことはないであろう。

 アキノ大統領は米国に平伏している。まるで茶色の小さな猿のように。米政府が好感を持つのも、無理はない。ご主人様のいいなりだから。(トリビューン・24日)

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