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12月24日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 758字|2012.12.24|社会 (society)|ハロハロ ]

 クリスマスも正月も、ぴんと来ない。何しろ、連日、マニラの最高気温は30度を上回り、わたしにとって、初めて猛暑のなかで迎える年の瀬なのだ。それでも、新聞は年末恒例の記事を準備しなければならない。マニラ新聞では毎年、日本人特派員の方々に集まってもらい、1年間の主なニュースを回顧していただく。大みそか12月31日の紙面に、やりとりを掲載するのが決まりだ。過日、その座談会を開いた。席上、これも決まりで、今年のフィリピンの「10大ニュース」選定をお願いした。

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 順位は大みそかまで公表できないが、西フィリピン海(南シナ海)のスカーボロ礁の領有権をめぐるフィリピンと中国との対立激化が座談の席で、大きな話題になった。尖閣諸島の領有権をめぐる日本と中国の争いと対を成す、今年アジアで起きた大ニュースの一つである。両事件の発端にも、共通点がある。フィリピンは、違法操業をする中国漁船の取り締まりに海軍艦船を派遣し、日本は尖閣諸島を国有化した。両国政府はその際、中国側の反応を完全に読み違えていた。

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 そのあたりを含めて、問題を考えるよすがになる新刊本がある。友人の岡田充桜美林大講師が11月末に緊急出版した『尖閣諸島問題 領土ナショナリズムの魔力』(蒼蒼社)である。日本から早速、取り寄せて読んだ。多彩な資料を基に、尖閣問題の歴史的背景と、日本と中国の主張の違いが明快に解説されていて、南沙諸島問題の背景や解決策を探る参考にもなる。例えば、1952年に発効したサンフランシスコ平和条約には、中国も台湾も参加していない。だから、この条約を領有権の論拠の一つとする日本の主張を「受け入れられない」と中国側が否定するのも、あながち荒唐無稽(こうとうむけい)ではないことが分かる。よいお年を。(竹)

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