独裁国家の悪法
サイバー取締法
サイバー犯罪取締法はあまりに厳しく、まるで独裁国家の悪法のようだ。アキノ大統領は、公開性と透明性を公言する政権が、なぜ、あからさまに表現の自由を規制する法律に署名したのか説明すべきだ。
ほかの寛容な国家と違い、フィリピンはいまなお、名誉毀損(きそん)を刑事犯罪として扱っている。1930年制定の改正刑法では、活字媒体や映像での名誉毀損には禁固6月から4年2月が科される。
米国の人権団体は、このような刑罰は、比が批准した「市民的及び政治的権利に関する国際規約」と矛盾すると指摘した。現行の法律を修正、改正するのではなく、「コンピューターを使った犯罪行為」に名誉毀損を加えるサイバー法は、事態を悪化させる。
新法では、インターネット上での名誉毀損に対して、禁固6月から12年と、より重い刑が科される。同じ罪に問われたとしても、有力な弁護士に依頼する資金のない一般市民は、報道関係者よりも、厳しく処罰されることになるだろう。
主要な報道機関はすべて、インターネット上にも記事を掲載している。だから、最終的には市民とジャーナリストのいずれも、より厳しい刑罰を受ける結果になる。憲法が保障する言論の自由に対するあからさまな脅威だ。
サイバー法起草者のソット上院議員は、自身が法案に名誉毀損の文言を挿入したことを認めた。法案は元々、ハッキングなどコンピューターへの違法侵入や情報改ざん、インターネット詐欺の取り締まりを目的としていた。
幸い、最高裁にサイバー法の差し止め請求が10件以上提出された。我々は、諸外国で最も基本的な権利と認識されている表現の自由を守ることでは、一歩も譲らない。(1日・スタンダードトゥデー)