採決の機は熟した
人口抑制法案
上、下両院議員が本当に国民の従僕であると自認するならば、人口抑制法案をめぐる審議を終了し、採決に入るべきだ。下院だけでもすでに1年以上審議が続いている。
人口抑制を義務付ける最初の法案が1998年に提出されて以来、この問題をめぐり活発な議論が展開されてきた。それなのに、採決への下院の取り組みはすべて、カトリック教会を中心とする反対で失敗した。
10年以上の議論を経た我々は、この問題をあらゆる角度から検証できなかったのだろうか。おそらく答えは「ノー」だろう。国会や教会、自治体、ラジオやテレビの番組で長年議論され尽くし、何ページにもわたって新聞や雑誌で報じられてきた。我々は、「法案採決に向けた機は熟している」と言うサンチャゴ上院議員らの見解に同意すべきだろう。
しかし、エンリレ上院議長は採決に反対する。その反対理由は上院の審議で明らかになるはずだ。議長は即時採決論に異を唱え「まだ機は熟していない。彼らの言う『熟した』の意味も分からない。バナナやマンゴ、ドリアンじゃあるまいし」と嘲笑する。
エンリレ議長が挙げる反対理由は、先進国で進む少子高齢化現象が基になっている。国の年金制度破綻につながりかねないからだ。他方、高齢化社会にはプラスの要素があるとの指摘もある。我々が出生率をコントロールできないばかりに、何百万という国民が飢えに苦しみ、適切な教育や十分な栄養が与えられないために、何百万という子供がまともに育たない。
上院議長はそのあたりを知っている。その上で「では誰が警官や軍人、労働者になり、誰が国民のために田植えをするのか」と言う。ご高齢なのに、自説を曲げない姿はある意味で頼もしい。(1日・スタンダードトゥデー)