比社会の「偽善性」
世俗化する聖週間
聖金曜日に撮影された写真がインターネットで話題になった。
その一つは、ミンダナオ地方ダバオ市にあるサンペドロ大聖堂で撮られ、会員制交流サイト「フェイスブック」に公開された。大聖堂の警備員が半裸の男性の胸を警棒で突いている。撮影者はキャプションで説明する。
「半裸の男性はひざまずき静かに祈っていた。この男性を教会から追い出すよう、居合わせた男性がタガログ語で警備員に指示した。マニラの教会は、精神障害者や路上生活者の教会立ち入りを禁止していると言うのだ。警備員はいきなり、半裸の男性の肋骨を警棒で突いた。私は即座にシャッターを数回押した。すると、突然、聖書を手にした年配の男性が私の肩をたたく。そして、こんな出来事の写真を神聖な教会の中で撮るのはよろしくないですな、と言い放った。私はあぜんとした」
二つ目は、ルソン地方バンバンガ州アンヘレス市で撮られた。花柄の袖無しシャツと派手な短パン姿で、サングラスをかけた若い女性が被写体だ。キリストの受難を追体験するために設置された十字架にしがみついている。そのポーズはセクシーに見える。
この2つの写真には、比社会の「偽善性」がはっきり表れている。教会など祈りの施設は、今では観光地化している。教会で、博物館や公園を訪れる観光客と同じ振る舞いをする。
警備員と半裸男性の事件は、社会が精神障害や貧困を汚点視している証しだろう。
どうすれば、より良い社会になるのか。世論を動かせば可能かもしれない。さもないと、来年も同様の光景を目にするだろう。(12日・スタンダードトゥデー、ジェニー・オルトゥオステ氏)