バス運転手の給与
歩合制から固定給へ
バス運転手の給与体系を固定給に変更するとの政府決定は、なかなか日の目を見ない。ジプニーも含め協議が進められているはずだが、現行の歩合制が交通渋滞と事故多発の原因となっているのは間違いない。
歩合制では、運転手は乗客を12時間乗せる代わりにバス会社やジプニー所有者に一定額を支払う。車両の賃貸料のようなものだ。運転手の手取りとなるのは、乗客から得た運賃からこの一定額と燃料費を差し引いた金額。怠ければ実入りは少ないが、懸命に働けば高額となる。
この歩合制システムこそ運転手に競争を強いる。混雑する通りで、いち早く乗客をつかまえる競争をするため、事故が起きやすくなる。バス専用車線をはみ出し、無謀運転でレースの先頭に立とうとする。交通違反を犯しているのは運転手も承知の上だ。しかし競わなければ、実入りが減る。
車両の所有者は、売り上げがある限り、運転手が何をしようと構わない。仕事をするのは運転手と車掌なのである。この仕組みは、運転手と車掌にとっては不公平だ。とは言っても、彼らは稼ぐために従わせざるを得ない。
運輸通信省の陸運事業許可調整委員会の新方針では、恐らく全てが変わるはずだ。車両所有者は反対し、賛同しない運転手もいるだろう。現行の12時間労働の方が、新方針の8時間労働よりも稼げるからだ。
疲労した運転手は反射神経が鈍り、居眠りをする。特に夜勤の運転手は事故を起こしやすい。これが労働時間を8時間に制限するゆえんである。さらに新方針では、社会保障も受けられるし、13カ月目やクリスマスのボーナスも支給される。女性運転手には育児休暇もある。総じて、新方針では恐らく交通渋滞が減ることとなるだろう。(9日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)