決定過程に透明性を
マニラ空港改修
ロハス運輸通信長官はこのほど、マニラ空港第1ターミナルの改修案を発表したが、決定過程にひと騒動あったようだ。今年初めに政府から改修案策定の依頼を受けた著名な比人デザイナー、ケネス・コポンプエ氏ら3人による共同案が土壇場で廃案となった。
替わりに採用されたのが、約30年前に同ターミナルを設計した建築家、レアンドロ・ロクシン氏の息子が、短期間で起草した改修案だった。コポンプエ氏らは、同長官に対し共同案が廃案になった決定過程などの説明を求めている。
同長官は、「3人の案はデザインには優れているが建造物としての構造に欠けている。建物の構造は、美学的要素と同等の比重が置かれるべきだ」と評した。しかし、コポンプエ氏らは空港専門の技術者と打ち合わせをしながら設計した、などと反発している。
同長官が発表した改修案は総額約11億6千万ペソ。内装デザインに5億ペソ、建物の補強に3億4千万ペソ、緊急誘導路の整備に3億ペソ││などとなった。
共同案は、銀行や免税店などを移動させ、利用客の流れを促進し、開放感のある構造になっていた。南国風の庭や太陽光の差し込む場所を作るなど「南国的で現代風」と銘打っていた。
共同案の起草には8カ月間を要した。しかし、同長官が6月に運輸通信長官に就任してから事態が急変した。コポンプエ氏は「共同案の事業費は採用案より安価だった」と述べ、透明な入札が行われたのか明確にするよう政府に問いかけている。
同長官は最近、同ターミナルを民営化するため、約25億ドルで売却する構想を発表した。8カ月を要して練られた当初の改修案も変更した。同長官の説明が求められている。(11月28日・インクワイアラー)