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8月22日のまにら新聞から

教会の原理主義者

[ 739字|2011.8.22|社会 (society)|新聞論調 ]

芸術作品への抗議殺到

 比文化センターで展示され大きな議論となった芸術作品に関する上院聴聞会で議長を務めたアンガラ上院議員の差配はとても優れていた。もしメディアが当初からこのようなバランスの取れた見識を持ち、この作品を原理主義者タリバンのごとく批判したカトリック教会の言い分に偏った姿勢で報道していなければ、このような苦痛の種を多くの人に与えずに済んだはずだ。

 わが国のメディア、特にラジオとテレビはセンセーショナルに報道する傾向がある。今回の芸術作品をめぐる騒動でも作家の言い分には触れず、同センターに押し掛けたカトリック原理主義者らの騒動に注目するばかりだった。レポーターたちはまず、この作品でイエス・キリストを表現する方法がカトリック教徒たちの感受性を傷つけたとする方向で歪曲報道を始めた。後に作家の意図はキリストを冒涜(ぼうとく)することではなく、偶像崇拝や偽善などといった宗教の誤った実践に焦点を当てることだったとの事実を新聞などが報道した。もちろん自己の主張を表現する芸術家の方法を批判することはできる。しかし、今回は芸術作品による衝撃よりもカトリック原理主義者たちによる反動の方がより激しく、政治家の標的にもされてしまった。

 視察したイメルダ元大統領夫人が作品を卑わいだと批判したことは受け入れ難い。彼女が昔、建設を急がせたフィルム・センターでは多数の労働者が作業中の事故で死亡した。また夫妻で不正蓄財に励んだことはよほど卑わいだと言いたい。

 今回の事件について、ホセ・リサールの著作を学校で教えることを禁止するよう1956年に上院に求めた当時のカトリック・マニラ大司教の要請行動を関連付けたサウスチャイナ・モーニングポスト紙に掲載された記事が秀逸だった。(18日・スター)

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