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1月10日のまにら新聞から

犯罪が採算の取れる国?

[ 730字|2011.1.10|社会 (society)|新聞論調 ]

国軍不正蓄財事件

 もしあなたの家から3億ペソを盗んだ泥棒がいたとしよう。彼はその後、逮捕され、裁判所に起訴された。しかし、裁判所の罪状認否で1億2千万ペソを彼が返却する代わりに、交通規則を無視して横断した罪に引き下げることで合意し、保釈されたとしたら、あなたは納得がいくだろうか。もちろんノーだろう。これでは犯罪人を罰するどころか、逆に彼に膨大な報酬を与えたに等しいからだ。

 しかし、これは国軍不正蓄財事件で起訴されたガルシア元国軍参謀次長と検察局が合意に達した司法取引そのものだ。国軍予算などから3億ペソを不正蓄財する一方、息子が米国に10万ドルを持ち込もうとして逮捕された。彼の妻は、発注事業の受注者からのわいろだったと自供した。

 彼は、いかにして検察と交渉し、蓄財の一部を返却する代わりに収賄や資金洗浄防止法違反といった重罪を軽減し、その他の罪状を帳消しにし、さらに保釈で自由まで手に入れることができたのだろう。彼と弁護士が説得上手だったということなのだろうか。

 普通、司法取引とは検察側の証拠が不十分な場合に行われる。証拠不十分で被告が無罪になる恐れがある場合に、公判にかける時間と費用を省くために司法取引に臨むのだ。しかし、今回の裁判ではガルシア元参謀次長に対する証拠は十分確保されていた。彼の家族も収賄容疑を認めているのだ。数カ月前には検察側も証拠が十分だと胸を張って報告していた。

 検察はなぜ不正蓄財の半分以下の金額で司法取引を容認したのだろう?公務員特別裁判所がこの司法取引を最終的に認めた場合、この判断に様々な要因が働いたと見なされるだろう。この国では犯罪は採算が取れるということになるのだろうか?(7日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

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