乏しい情報収集能力
各国政府テロ注意喚起
国防省と治安当局は国境周辺への攻撃の脅威に対し異常なまでに混乱している。数週間前、ガスミン国防長官は十分な説明なしにアキノ大統領暗殺計画の存在を明らかにし、国中を驚かせた。その後、政府は同長官の発表を否定、暗殺計画は存在しないと言明した。
一方、対テロ戦争に従事する主要5カ国が比でテロ攻撃の可能性があると警告。比政府が初期情報すら入手できなかった信頼性の高いこの情報を目の当たりにしても、大統領府は警告を退けた。しか、テロ攻撃について最も優れた情報網を持ち、その対処法にも精通している国々からの警告によって、ガスミン長官が国家の脅威に直面しても的確に国民に説明する能力がないことが、あらわになった。
テロ攻撃情報の否定で、政府は国民に安全を保証するどころか、安全保障に関する情報収集能力の乏しさを露呈し、国民を不安にさせた。
比は対テロ戦争において警戒地域になっており、南部は国際テロ組織の訓練場所として知られている。設備、機材不足の国軍と、金がモノを言う組織的な汚職の存在は、反乱分子にとって捜査から逃れ、南部を利用する絶好の動機となっている。加えて、アキノ政権の閣僚らは国家を守るより、大統領一家の安全に集中している。
多くの国民が感じている本当の脅威は、現政権の閣僚級は安全保障問題について的確な判断を下す能力に欠けていることだ。情報収集ではるかに優る外国政府の警告を過剰反応と訴える政府は、この国の情報機関の実態を映し出している。ガスミン長官指揮下の臆病な軍隊はを国民の安寧を見張る能力を持たない。能力のない指揮官らを持つことこそが、武装勢力よりはるかに重大な脅威だ。(5日・トリビューン)