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1月11日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 584字|2010.1.11|社会 (society)|ハロハロ ]

 乾期に入って、赤い花が目立って増えてきたように思う。そのいくつかを列記すると……。街路樹で、空に向かって燃え立つように五弁の花びらを広げるカエンボク(火焔木)。その形から英名は「アフリカン・チューリップ・ツリー」。今が開花期のブーゲンビリアも赤が主役で、白、オレンジの小さな花が寄り添う。

 毎朝、赤ん坊の顔ほどもある花をいくつもつけるハイビスカス。ハイビスカスの一種で雄しべと花柱が風鈴のように垂れ下がる「フウリンブッソウゲ」。低木では直径7センチほどの半球形の花を数多く咲かせる「レッド・パウダーパフ」。名前の通り化粧用パフそっくりだ。とげに覆われているが、愛らしい花をつける「とげの花冠」(英名訳)、緑の枝の先で管状の小さい花を垂れる「コーラルフラワー」。どれも赤い花だが、一つとして同じ赤はない。

 谷崎潤一郎は『文章読本』の中で「紅い花を見ても、各人がそれを同じ色に感ずるかどうかは疑問で、眼の感覚の優れた人は、その中に常人には気づかない複雑な美しさを見るかも知れない。だが、言葉で表そうとすれば、兎に角『紅』に一番近いので『紅い』というでしょう。つまり『紅い』という言葉があるために、その人のほんとうの感覚とは違ったものが伝えられる」といった意味のことを述べている。花を見比べながら、微妙な色の違いを言葉にする難しさを実感した。(濱)

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