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1月11日のまにら新聞から

新聞論調

[ 725字|2010.1.11|社会 (society)|新聞論調 ]

消えない封建体質−刑務所内の特別待遇

ミンダナオ地方マギンダナオ州の大量虐殺を指揮したとされるアンパトゥアン一族が拘置所内で特別待遇を受けている事態は最初から予想できた。「アンパトゥアン一族も他の収監者と同様に虐待されている」という衝撃的ニュースが紙面に踊ることはなかった。比は民主主義国家と認識されているかもしれないが、実際は半封建的社会、政治体制の基に成り立っている。

 この国の刑務所は、封建的な社会構造をある程度容認している。一般収監者に対する人権侵害を軽減させるため、その封建体質を利用している。有力政治家や富豪らといった「VIP」に値する収監者の財源が、貧しい収監者の食事や医療事情、さらには薄給の刑務官の生活改善にも充てられている。

 これと引き換えにVIPには、広いベッドルームが与えられ、刑務所とは思えぬ状態で刑期を送っている。少女をレイプし終身刑判決を受け、今は自由になったハロスホス元下院議員の部屋がそうだった。メディアが取材を認められたその部屋には、プラズマTV、エアコン、巨大なベッドなどが設置されている。快適な生活を味わった元議員は、法的サービスを含め収監者の支援事業に資金を費やした。

 デリマ人権委員長は以前、刑務所内での特別待遇は「人権と平等の原則に違反する」と非難した。エアコン付きの部屋は、劣悪な環境にいる収監者には不平等である。彼らはいわしの缶詰のようにすし詰めにされ、睡眠時間もままならない。

 最高裁を含め専門家たちは、刑務所の汚職体質を取り締まるよう訴え続けてきた。しかし、アンパトゥアン一族の地元政治支配に象徴される半封建的体質が存続する限り、未来はない。これは次期政権が取り組むべき喫緊の課題である。    (5日・タイムズ)

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