知る権利に規制
権力者の資産隠し
公的な情報を国民が知る権利は憲法で明記されている。知る権利の対象になる情報は、毎年、政府高官、国会議員に提出が義務づけられている資産報告も含まれる。資産報告は、誰が公職を利用して利益を得ているか示すことができる。しかし、今、資産報告の公開が規制されてしまった。
行政監察院は6月16日、資産報告の公開条件を厳格化した通達を出した。公開条件には、請求者が嫌がらせに利用しないとの宣誓の義務づけが含まれる。何を持って「嫌がらせ」とするのか。
大統領府は、アロヨ大統領の長男、フアンミゲル下院議員の資産未報告問題が浮上する中、公開指針の厳格化の報道を受け、「大統領一家は資産報告を利用した嫌がらせの被害者」とした声明を出した。
フアンミゲル氏は、問題の米カリフォルニア州の住宅について、自身が株主となっている米国内の民間企業に返還したと説明。しかし、説明にあった企業は同国内に存在せず、実際に住宅はフアンミゲル氏の妻名義で登記されていた。さらに、同氏は住宅購入費について、結婚祝い金や選挙での寄付金を充てたと話している。
住宅に関しては資産報告に含まれておらず、寄付金についても選挙資金報告に明記されていなかった。フアンミゲル氏は、窮地に立たされ、不正を追及される政権側の決まり文句、「告訴すればいい」とふてくされた。
資産報告は、国家危機ではない。行政監察院は、引き続き報道機関への公開を保証するとともに、今回の厳格化が大統領一家の資産未報告問題と関係がないと断言している。
情報化時代の現在、民主国家を標ぼうするこの国は、世界の流れに反し、知る権利を弾圧している。(11日・スター)