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2月2日のまにら新聞から

無能な命令執行者

[ 692字|2009.2.2|社会 (society)|新聞論調 ]

軍・警察出身者の重用

 「現役・退役を問わず軍・警察幹部は有能」という見方は、独裁体制を維持するためにマルコス元大統領が作り上げた神話であった。戒厳令下(一九七二年九月︱八一年一月)、上官命令に従うよう訓練された軍・警察出身者は、国民をむち打つ政策の理想的な執行者となった。

 戒厳令の布告当初は、同元大統領も軍・警察出身者の重用がいかにばかげているかを分かっていて、要職には起用しなかった。一方で、国防相などのポストにエンリレ現上院議長ら腹心の文民を置き、軍・警察をコントロールした。

 しかし、時間の経過と共に、文民が起用されるべきポストを元将官・警察幹部が占めるようになった。これは、元将官らの忠誠心を維持させるためで、マルコス元大統領の期待通り、これら元将官らは元大統領や政商の命令に盲目的に従い、国富の組織的収奪に加担した。

 このマルコス独裁体制と軍・警察出身者を次々に重用するアロヨ現政権の現状は気味悪いほど似ている。 これら元将官らの一人、エブダネ公共事業道路長官は国家警察長官としては凡庸だった。しかし、政変エドサ2(二〇〇一年一月)直後、不安定な現政権に忠誠を尽くしたという一点を評価され、論功行賞を与えられたわけだ。

 同長官の無能さは、世銀支援事業談合問題の上院聴聞会で、「(世銀から処分を受けた)企業は国内法には違反していない。世銀関連以外の事業への入札は認める」と言い放ったことからもうかがい知れる。そして、忠誠心は今も健在で、首都圏マカティ市に事務所を構える「大統領府関係者」のため、援助事業を通じて毎年巨額の資金を作り続けている。(1月29日・マラヤ)

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