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11月10日のまにら新聞から

変革の訪れ

[ 728字|2008.11.10|社会 (society)|新聞論調 ]

米大統領選の意義

 「黒人」と呼ばれ、米国南部では有権者登録すらできなかった一九五〇年代を振り返ると、アフリカ系米国人が米大統領に選出されたことは想像を絶する歴史的事実だ。

 「われわれは以下の諸事実を自明なものとみなす。すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由、そして幸福の追求という権利を与えられている」

 一部の人間は、「すべての人間は平等」という概念から除外されてきた。しかし、オバマ上院議員が第四十四代米大統領に選出されたことで、この歴史的軌跡は原罪から解放された。

 しかし、同じ理念を掲げるわれわれ比国民はなぜ、汚染され、ひずんだ部分だけを吸収してきたのか。

 一九八七年制定の比共和国憲法序文には「我々、主権者たる比国民は、全能の神の助けを請いつつ、正義と人道の社会を構築するため、理想と志を具現化する政府を樹立し……真実、自由、平等そして平和の下での独立と民主主義を謳歌(おうか)するため、この憲法を制定し公布する」とある。この理念は、米国が一七七六年に英国からの独立を宣言した時と同じように、比国民の心に共鳴している。

 しかしなぜ、不当な政府に奴隷のように扱われ、自由かつ平和な社会を実現できないのか。マルコス政権を打倒したエドサ革命から二十二年が経過し、その精神を忘れてしまったからだろう。

 米国の独立宣言には「権力乱用や権利侵害が度重なり、人民を専制政治の下に帰せしめようとする企図が明らかになる時、そのような政府を投げ打つことは人民の権利、義務である」とうたわれている。

 オバマ氏は「変革の時が訪れた」と勝利演説した。比国にはいつ変革の時が訪れるのだろうか。(6日・マラヤ)

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