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7月7日のまにら新聞から

優先意識の欠如

[ 679字|2008.7.7|社会 (society)|新聞論調 ]

無益に終わった訪米

 アロヨ大統領がきょう、米国から帰国する。今回の訪米では目立った成果はなく、これを隠すため、長年開業が遅れているマニラ空港第3ターミナルを初めて利用することになった。

 訪米で最も注目されたのは、退陣間近の比米両大統領による会談だった。ブッシュ大統領は台風フランクによる被災地支援のため、米海軍に所属する原子力空母「ロナルド

・レーガン」の派遣を表明。在比米国大使館は「空母派遣は訪問米軍地位協定(VFA)に沿った支援」と説明。そうであれば、同空母派遣は首脳会談がなくても実現できたはずだ。

 訪米失敗の最大要因は、米大統領選、民主党候補のオバマ上院議員と会談できなかったこと。実現していれば、アロヨ大統領にとって大きな宣伝効果をもたらしただろうが、十一月の大統領選挙を控えた同上院議員にとり、アロヨ大統領と写真に納まるのは賢明ではないとの判断があったのだろう。

 そしてアロヨ大統領はきょう、六月に実施された試験運用では空調が稼働しないなど、不具合が相次いだ第3ターミナルに到着する。運が続けば、大統領一行は頭上に天井が落ちることなくターミナルを利用できるだろう。

 訪米を満喫するため、犠牲者約八百人を出した大型フェリー転覆事故を「放置」したアロヨ大統領は帰国後、悲劇を顧みなかったとの非難を免れないだろう。自国が混乱に陥っている中、多額の公費を使った無益な訪米は、大統領の優先意識の欠如ぶりを証明した。

 アロヨ大統領が持つ「統治」感覚では、国民を助けることより、米国の要人らと一緒に写真に納まる方が重要なのだ。(6月30日・トリビューン)

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