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5月19日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 586字|2008.5.19|社会 (society)|ハロハロ ]

 今春、日本の大学に入学したフィリピン育ちの女子大生と東京・新宿駅前で待ち合わせた。お互いに顔も知らない初対面同士だったため、相手が見つけやすいように季節はずれの真っ赤なえり巻と大きな花粉防止用の白マスク姿で出掛けた。指定場所に着くと、土曜日の午後とあって大変な込みようだったが、間もなく携帯電話のベルが鳴った。お互いに位置を確かめ合いながら移動するうち、間もなく女子大生が笑顔で近づいてきた。

 日本滞在暦がまだ一年にも満たない十八歳の日向佐智胡さん。フィリピンで鳩山邦夫衆院議員(現法相)のチョウ鑑賞に同行中、高圧電線に触れる事故に遭ったチョウ収集家の故日向博美さんの娘さんだ。マニラ新聞からの手配で、篤志家から届けられた義援金と手紙を手渡すのが目的だった。父親が事故の後遺症で亡くなってから二カ月後、単身来日した佐智胡さん。「家族のためにこの選択肢しかなかった」と述懐する。

 来日してからの彼女の努力がすごい。高校卒業程度認定試験に一発で合格し、希望する大学にもストレートで入学した。高校時代は父親によく反抗し、口論もしたが、日本に来て父親の友人関係の広さを知り、尊敬し直したという。日比ボランティア関係の事務所で働きながら勉学に励んでいるが、「将来は日比交流に役立つ仕事に就きたい」と熱っぽく話してくれた。頑張り屋の彼女の奮闘を見守りたい。(富)

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