もぎ取られた翼
FAA格下げ問題
米連邦航空局(FAA)が比の航空会社の運用に対する評価を「カテゴリー2」に格下げした。この影響は、米国路線を持つフィリピン航空(PAL)にとどまらず、この国全体への評価を脅かす事態を招いている。
米国には数百万人の比国民が住んでおり、PALは収益の三分の一を米国路線で稼ぎ出している。このためPALにとり米政府の航空安全基準順守が不可欠となる。
ましてグローバリゼーション
とテロ対策を主導するのが米国であり、しかも国家の運輸インフラが世界中から嘲笑されるのを座視するわけにはいかない。
とはいえ、今回の格下げを政府当局者は二〇〇七年末に分かっており、比運輸通信省と傘下の航空運輸局(ATO)は格下げで生じる深刻な事態の発生を事前に予測できたはずだ。アロヨ上院議員が、同省とATOを厳しく糾弾しているのはそのためだ。
同議員によると、同年十月の上院予算委員会で同省とATO当局者は米国の動きに全く触れず、年末になって下院に「民間航空局設置法案」の採択を強く求めた。下院はろくに法案審議もせず、遂に米国の評価引き下げを防げなかったというのだ。
エンリレ上院議員は、上院が同法案を可決したのに下院で滞っているとしてその不手際を批判しているが、これでは格下げを国会の責任になすり付けたい同省とATOの思うつぼだ。
格下げの理由は①時代遅れの航空関連法制②安全、機体検査官の未熟さ︱︱などで、同省とATOは民間航空局設置前にこれらの改善に取り組めたはず。同省とATOはこれまで何をしてきたかを説明し、ろくな予算要求もして来なかった責任を明確にするべきだ。(18日・インクワイアラー)