ハロハロ
北東季節風が大晦日(みそか)から吹き続ける中で新しい年を迎えた。シベリア高気圧から吹く北風が熱帯に属するフィリピン群島の空模様に影響を与えている。比気象庁の天気概況によると、寒気団の南端はルソン、ビサヤ両地方にかかっているという。日本で冬場、日本海側に大雪、太平洋側に空っ風をもたらすのと同じシベリア寒気団だ。あらためて大気の動きの大きさと地球の狭さを感じる。
♢
マキリン山ふもとの丘陵地。ここから南西に望むラグナ、バタンガス両州にまたがって広がる草原、その向こうに光るタール湖の水面やマコロットなどの山々はいかにも平和なたたずまい。経済成長を競った前世紀と異なり、二十一世紀はやすらぎ、静けさ、自然、地域文化などに価値観を求める生き方が大切にされる時代と期待されている。この国はそうした環境を守る先進国であってほしい。
♢
薄紅色、開いたばかりの淡い藍(あい)色の花弁……。いま、いくつものアジサイが拙宅の庭を彩っている。小雨に濡れるアジサイは確かに梅雨時の日本の風情。低い雲が切れた空に背の高いスジ雲やウロコ雲が伸びる。これも日本の秋の雲を連想させるが、時季外れに映るのは季節を日本と比較するからで、自然は自然の周期で三百六十五日を刻んでいる。「去年(こぞ)今年なくゆっくりと川流れ(韶子)」(濱)