ハロハロ
[ 512字|2007.11.5|社会 (society)|ハロハロ ]
日ぐれが青い灯つけてゆく 宵の十字路……「哀愁の街に霧が降る」は、昭和世代にはなじみの歌だ。その歌い手、山田真二の訃報が十月末、報じられた。享年七十歳。驚いたことに某紙の死亡記事にはこのヒット曲名がない。えっ!あのヤマダシンジ? 顔写真を眺めながら別の新聞を開いた。
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たった一曲のヒットで世に出た流行歌手は多数いる。「東京の灯よいつまでも」の新川二郎、「若いふたり」の北原謙二などなど。この歌手もその典型だろう。山田真二といえば「哀愁の……」といわれるぐらい。「哀愁の街に霧が降るのだ」(椎名誠)というタイトルの小説まである。
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記事は若い記者が書いたにしても、年配のデスクがチェックしたはずだ。いくら大衆芸能とはいえ、こうした知識が継承されていないとみえる。昭和歌謡は過去帖に葬り去られたのか。山田真二も浮かばれないなあ……。だが、「時代は変わった」と常套的文句で片付けるには少し引っかかるものがあった。案外、他の分野にもこうした「常識格差」があるのかもしれない。同業者の端くれとして自省を促された。(紀)