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10月15日のまにら新聞から

膨大な無駄遣い

[ 684字|2007.10.15|社会 (society)|新聞論調 ]

教科書放置問題

 会計検査院(COA)は二〇〇六年会計報告書で、三億二千九百万ペソ相当の教科書などが全国十五地域の教育省倉庫に放置されていると明らかにした。一億八千七百万ペソ分の教科書が内容改訂で使用できず、一億三千九百万ペソ分のコンピューターは所在不明か技術的な問題で使われていない。数百万ペソ分の教材もごみ同然という。

 教育省によると、これらは一九九九年から〇二年に資材不足解消のため購入されたが、同学年の同科目で異なった教科書だったため、使用されなかった。二重購入のほか、内容に事実関係などの間違いが目立ち、教育省制定の水準を満たしていない教科書もあった。性急な判断が無駄を生み出したのは明白で、自治体職員や政治家が私腹を肥やしたことだろう。この事態は教育省にも責任はある。購入教科書の内容に関する指針を地方自治体にきちんと伝えたのだろうか。そうであれば、なぜ五年間も黙っていたのか。

 問題は教科書の質だけではない。首都圏では五十万冊の教科書が何らかの理由で配布されていない。生徒三人が一冊の教科書を共有する中、教科書一億八千万ペソ分を無駄にするのはまさに犯罪行為だ。生徒用のコンピューターが校長室や職員室で使用中の例もある。東ビサヤ地域では、五百六十七台が倉庫に眠ったままだ。教育省は取り扱い方法を教師に教えなかった納入業者を非難する。他人任せ、汚職体質などを生む官僚制度の弱点が暴露された形だ。今また、同省は大統領府の後ろ盾で、さらに壮大なサイバー教育事業(総額四億六千万ドル)を推進しようとしている。新たな無駄を生み出すのは間違いない。(12日・インクワイアラー)

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