選挙キャンペーンか
汚職疑惑の上院聴聞会
アバロス中央選管委員長の過ちがいかなるものであれ、上院聴聞会で受けたような粗野な扱い、特にピメンテル、ゴードン両議員による仕打ちはふさわしいものではなかった。汚職疑惑に関する二十六日の上院聴聞会で起きたことは品格のある質疑ではなく、やりすぎである。上院議員たちは同じ質問を繰り返してテレビへの露出度を競い合い、互いに相手を侮辱し合った。これでは国政の場ではなく豚小屋そのものである。
このようなやりすぎに不快感を覚えたのは私だけではない。多くの視聴者から上院議員の振る舞いに対する苦情がラジオ局などに寄せられた。外交官やジャーナリストなど私の外国人の友人たちからもどうして上院がこんな調子なのかと質問された。彼らに対して私は幾つかの理由を挙げて説明を試みた。
まず、あの聴聞会を取り仕切った議員のうち五人は二〇一〇年の大統領選挙を狙っており、他の五人が来たるべき選挙で副大統領の座を狙っているといわれている。いわば選挙キャンペーンを議会の場で始めているのである。
次に、政府ブロードバンド網事業の受注疑惑に関する具体的な論拠がそもそも薄弱なことが挙げられる。その証拠の薄さを補うために、メディアも巻き込んで劇的効果を狙った演出で聴聞を進めざるを得ないのである。
結局、論理的な欠陥に焦点を当てる議員は一人もいなかった。なぜ、アバロス委員長による二つの買収疑惑が発生した日時がそもそも同事業の契約が締結された後に起きているのだろうか?。先日の聴聞会ではそんな論理は吹き飛び、十一時間以上にわたって決定的な結論も出ない議論を続けた議員たちは無料でテレビで顔を売る機会を探していただけなのかもしれない。(29日・スター、アレックス・マグノ氏)