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8月13日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 605字|2007.8.13|社会 (society)|ハロハロ ]

  東南アジアでの楽しみの一つは、豊かな太陽の下で育つ果物を存分に味わうこと。ねっとりした舌触りの果物の王様、ドリアン、純白の肌を誇る女王、マンゴスティン、長いひげに覆われたランブータン、ジュースでもいけるマンゴーなどきりがない。照りつける陽の下を歩き、からからに渇いたのどを潤してくれるのがココナツの液汁。緑の部厚い外皮を大ぶりの刃物で切り落とし、最後に頂点を水平に切って飲み口を開ける。冷えてなくても、新鮮なココナツジュースをゴクリと飲めば、渇いた体が生気を取り戻す。

 飲み終えて殻の内側にスプーンをはわせる。液汁を包んでいた胚(はい)乳が削ぎ取れ、口に運ぶと、のど元をつるりと通っていく感触がたまらない。

 ココナツの楽しみ方はこれだけだと思っていたら、知人が最近、フィリピンで「ブコ」と呼ぶ胚乳を使った極上の菓子「ブコパイ」があると教えてくれた。四十三年前、「ブコパイ」を最初に考案、売り出した老舗がラグナ州ロスバニョスにあると聞いて行ってみた。

 「元祖ブコパイの店」の看板を掲げるだけあり、店の前には長い列ができ、中には一箱百二十ペソのブコパイを十箱も大量買いする客も見られた。それもうなずけるほど、アツアツのパイ生地の中には、ココナツの白い胚乳が何層にも敷かれ、その柔らかな食感と上品な甘さが見事なハーモニーを奏でる。まさに「絶品」。次の買い出し機会の到来が待ち遠しい。(道)

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