使用してから是正を
人身安保法の施行
先週末に施行された人身安保法(共和国法第九三七二号)の記念式典が二十日、開催された。式典には、アブサヤフに夫と一緒に拉致されたグレシア・バーンハム宣教師からもメッセージが寄せられ、あらためて国民にテロ対策の措置として同法が必要であることを知らせた。
一方、同法について複数の市民団体が違憲であるとして施行の一時差し止めを最高裁に求めた。提訴したのは急進的団体と野党のグループである。しかし、同法の条項に恐れを抱いているのは彼らだけではない。
今年の統一選挙前に国会を通過した同法は、テロの取り締まり側も、もしも捜査段階で法を侵せば最高二十年の禁固刑を受ける可能性があるなど、あいまいな条項を含んでいるというのだ。これはもともと、政府が国家権力を利用して政敵に対する嫌がらせをしてきたので、それを防ぐ意味合いをもって定められた条項である。それゆえ、もし警察など司法執行機関側がこの法的規制を不当として裁判所に訴えたとしても、驚くに当たらないのである。
誰をテロリストとして指定するのかがあいまいだとする議論があるが、アルカイーダにつながるジェマイスラミアやアブサヤフといった組織があることは厳然たる事実である。アブサヤフはバーンハム夫妻らを誘拐し、爆弾テロを起こして同法制定の国際的圧力を促した。
いかなる武器も善にも悪にも使用される。この武器を賢く使えるかどうかは政府次第である。同法の幾つかの条項は修正される必要があるが、上下両院が承認した法律はとりあえず試みに使って機能を果たさせるべきだろう。(21日・スター)