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7月23日のまにら新聞から

心ない大統領発言

[ 694字|2007.7.23|社会 (society)|新聞論調 ]

ボッシ神父の解放

 武装集団に拉致されていたイタリア人宣教師、ジャンカルロ・ボッシ神父が解放されたニュースはプロディ伊首相やローマ法王を喜ばせただけでなく、比政府関係者にも同様な喜びを与えた。しかし、アロヨ大統領に会うため、マラカニアン宮殿に連れて来られたボッシ神父は、そこで不可思議な反応に遭遇した。

 ボッシ神父によると、大統領はまず無事に解放された事を祝福した後で、「多くの人が死んだ」と付け加えたという。明らかにこれは罪悪感を押し付ける意識が働いている。神父解放に向けた捜索・救出作戦中に敵の待ち伏せ攻撃を受け、首を切られて死んだ海兵隊員らを引き合いに出したのだが、神父は「ある意味で私は責任を感じる」と述べた。

 大統領が神父に投げ掛けた言葉は無神経であるだけでなく許せない。いやしくて神父の心の傷をさらに拡げたのは確実だ。大統領の発言は非難に値し、国家の体面も汚した。

 ボッシ神父は被害者だ。誘拐され数週間も拉致された苦難は犯罪者たちに責任があり、彼を救出する責務は政府・軍関係者たちにあった。神父に落ち度はない。わが国の最高元首が被害者の神父に言及すべきことではなかった。自由を失った者に恩を着せることではないのだ。 

 ボッシ神父が亡くなった兵士に対して感謝と祈りを捧げると述べたのはキリスト者として正しい言動だと誰しも思う。しかし、大統領発言が事実なら、それは治安維持という政府の責任を下劣にも回避したに他ならない。もし、あなたの身に何かが起きて政府が救出に動いたら、自分の不運をとがめられるばかりか、政府の「お情け」を忘れるなと念を押されるだろう。(22日・インクワイアラー)

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