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7月9日のまにら新聞から

見せかけの演出

[ 680字|2007.7.9|社会 (society)|新聞論調 ]

ベドル委員長の逮捕

 マニラ市刑務所の監房はミンダナオ地方マギンダナオ州のベドル同州選管委員長のために用意されているはずだった。同州で浮上した選挙不正疑惑説明のため、中央選管の再三の召喚に応じなかったベドル委員長に対し、アバロス中央選管委員長は、「中央選管を侮辱した」と逮捕を命じた。同委員長はダバオ市内の病院で白内障の手術を受けた後、逮捕された。

 同委員長はマニラ首都圏に移送されて中央選管に出頭したが、「侮辱」の容疑を否認、七月十七日までに釈明書面を提出することだけで釈放された。ホテルに国民の税金で宿泊した後、ミンダナオに戻っていったのである。

 マギンダナオ州の中間集計表が紛失し、その後、紛失したはずの集計表が発見された事態に対する同委員長の説明はどうなってしまうのか。

 中央選管は、こうした謎を究明する意思がなさそうなばかりか、国家警察も銃器二十丁を隠し持っていると認めたベドル委員長を追及する気もなさそうだ。国家警察のイスラム教徒自治区(ARMM)本部長は、この地域の氏族社会では私人が銃器庫を所有するのは当たり前などと発言している。

 銃器取締法によると、一般市民は銃器の備蓄は認められないが、国家警察はARMMでは知らぬ顔である。一九九五年の調査では、ARMMの自治体首長八十人がそれぞれ機関銃を含めて六十丁以上の銃器を所持していた。同地方で暴力事件が絶えない理由だ。

 ARMMは無法地帯で、選挙関係者は何をやっても許されると知っている。ベドル委員長は最終的には中央選管に姿を現したが、それは単に見せびらかしの演出にすぎなかった。(5日・スター)

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