ハロハロ
中国大陸の土を初めて踏んだ。「クーニャン」という華語が懐かしい世代だが、「若い娘」という意味がウェートレスを呼ぶのに使われていた。北京も他の都市もマニラと同じほど暑く、黄砂のせいか空気がもやっている日もあった。街を歩く娘たちはマニラ同様、Tシャツの下からへそを出して歩いている。社会主義国家でもおへその愛すべきは変わらない。
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暑いのでスイカをやたらに食べた。北京のホテルでのデザートでまず、はまったが、西安のスイカが抜群だった。スイカでいやなのは種ほじりの面倒くささだが、かと言って「種なし物」は味気ない。西安のスイカは種がほどほどで、果肉がさっくりしている。匂いもすがすがしい。食べ始めるととまらない。
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さらなる美味は旬の桜桃であった。スーパーでは無造作に山盛りにされ、主婦が一つ一つ選んで買っていた。パックに一杯入れて二元、約十五ペソ。最高は山東省で食べたやつ。味はわが人生で最高。果肉がはちきれんばかりで、色はクーニャンのほっぺたである。中国人に「日本に輸出しないのか」と聞いたら、「植物検疫が厳しくてね」という返事だった。(水)