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政府の抗議は不要

2006/5/15 社会

カナダでのマナー論議

 右手にスプーン、左手にフォークを持つ「比人のテーブルマナー」が、カナダで論議を呼んでいる。

 発端は、ケベック州モントリオールの公立小学校で起きた出来事だった。校長が、比方式で食事をする比移民の児童を目にして「ブタのような食べ方をしている」と十回も児童をしかりつけたという。

 これに対し、在加比人社会は「テーブルマナーは比の文化だ」と猛反発。校長に謝罪を迫るとともに、比政府にも「比人に対する差別を容認できない」とカナダ政府に抗議するよう求めた。

 在加比人社会と比系メディアは現在も「戦闘モード」にあるようだが、校長の児童とその家族に対する謝罪と外交的抗議の是非は別物だ。

 公立小学校の果たすべき役割を考えてもらいたい。算数や読み書きと並んで、社会に適応できるよう子供たちをしつけることも大切な役割だ。「校長が十回もしかった」ということは、「十回しかられても児童がカナダ式のマナーに従おうとしなかった」ことを意味する。児童はしかられるべくして、しかられたのだ。

 文化の違いは自然と生活習慣に反映される。ただ、外国や異文化の中で生活する個人は、その国や社会の価値観を受け入れなければならない。

 在加比人社会の訴えを受けて、デカストロ副大統領と駐加比大使が「差別問題」に首を突っ込んでいるが、今回の出来事は純粋なカナダの国内問題であり、副大統領らは直ちに手を引くべきだろう。

 今回の出来事でわれわれ比国民は、児童の保護者が指摘するほど傷付き、感情を損なってはいない。「カナダにいるのなら、カナダ人と同じようにしなさい」と児童に指導した校長が正しかったのだ。 (9日・タイムズ)

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