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5月8日のまにら新聞から

無視された人権

[ 681字|2006.5.8|社会 (society)|新聞論調 ]

左派系活動家の殺害

 アロヨ大統領は死刑囚に対する極刑執行を廃止する立場を声高に訴えているが、左派系活動家の暗殺事件には沈黙を保っている。左派系活動家は死刑囚と同じように人間ではないのか、一人の罪人の命と同じように価値があるのではないのか。

 アロヨ氏が大統領に就任してから、左派系政党の指導者や党員、左派系活動家が合わせて百二十四人も殺害されている。今年だけで既に十七人だ。

 左派系政党「バヤン・ムナ」党員の殺害について、オカンポ下院議員は「殺害状況から国軍が関与している」との見方を表明している。人権擁護団体の代表もこれらの殺害は孤立した事件ではなく、左派系団体に対する政府の政策の一部とみられると指摘している。

 連続する暗殺事件は、米国務省の目からも逃れられない。年次の人権報告で「地域の活動家や教会関係者、弁護士、左派系政党の党員の殺害が増加している」と記されている。

 無論、アロヨ政権も国軍も活動家の殺害は国の政策ではないと否定、左派同士で殺し合っている可能性があるとの見解を示している。だが、左派勢力が合法的に、また議会で効果的に闘うため、多くの生身の人間を必要としている時に、どうして殺し合うだろうか。

 大統領は少なくともジャーナリストを殺害した犯人については犯人逮捕を呼び掛けたが、左派系関係者の殺害については何らの発言もない。

 大統領が偽善者でなく死刑反対の立場で一貫するならば、国軍に左派に対する超法規的殺害を止めるよう命じるべきだ。左派系活動家が実際に罪を犯したとしても、死に値するとする前に法の裁きを受けさせるべきだ。  (2日・インクワイアラー)

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