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2月20日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 579字|2006.2.20|社会 (society)|ハロハロ ]

 いつもは静かな日曜日のミサだが、あちこちで元気な赤ん坊の泣き声がする。生まれた子をカトリックに組み込む行事の集団洗礼式である。まるで儀式張れないフィリピン人のことで、田舎の教会はざわざわし放し。最近、電子カメラが普及してきて、あちこちで兄や姉、年かさのピンサン(いとこ)が手を突っ張っては撮影にいそしむ。子犬が走り回る。

 神父がなにやら説教するのだが、ほとんど聴こえない。信徒は聞く気がないどころか、おしゃべりに忙しい。神父はかまわず、人込みをかき分けてみどり児に近付き、頭をなぜて祝福する。大勢の親族が続いて頭や顔に触る。次にグラスに聖水を入れ、赤ちゃんの頭頂部にじゃかじゃか掛ける。冷水を浴びせられた赤ちゃんが泣き出す。集団洗礼式だから、八人が次々に元気な泣き声を上げる。毎日曜日、こんな調子なのだろうか。少子化が進む日本のことが心に浮かんだ。

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 赤ん坊はいい迷惑の洗礼だが、大人たちには「お呼ばれ」の日だ。祖父、母は家に残って接待の準備をする。手料理にビール、庭でカラオケ。すると小一か二の子どもが泣きながら逃げてきた。追いかけてきた父親がほっぺたをビシ。どうやら妹をいじめたらしい。折檻のころ合いを見て母親が飛び出し、息子を抱きしめる。ああ、こうやって子どもは親の情愛を知るのだ。思いはまた、子らが微温的に育つ日本に飛んだ。(水)

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