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2月13日のまにら新聞から

大統領の失政が原因

[ 672字|2006.2.13|社会 (society)|新聞論調 ]

テレビ番組圧死事故

 ゴンザレス司法長官はパシッグ市スポーツ施設「ウルトラ」で七十四人が死亡、少なくとも五百人が負傷した事故で、ABS│CBNのゲームショー番組の警備体制に不備があったと指摘した上で、「事故は人為的責任で起きたことは明らか。アロヨ大統領が刑事、民事両面から責任を追及するよう命じた」と強調した。大統領も被害者の親族に対して、事故の過失責任の追及を保証する」と表明した。

 しかし、これは何と皮肉な対応だろうか。大統領も長官も責任はABS│CBNの警備担当か、テレビ局全体と見ているようだが、はっきり言えば、この責めは大統領に向けられることになるだろう。

 会場に集まった人々は最貧困層に属し、ほとんどが無職だった。番組で行われる抽選で賞金などを当てようと意気込んでやって来た。極貧から抜け出すための唯一の行動だった。貧しくなければ、この会場に来なかったし、ゲートに殺到して人雪崩を起こし、七十四人もの命が奪われることはなかった。

 大統領の最も重要な職務の一つは貧困者の救済と雇用機会を与えることだ。だがアロヨ大統領は明らかに失政している。責任を全うしていないばかりか、アロヨ政権下で貧しさがさらに深刻化し、事故後、会場に詰めかけていた多くの人たちが救済を訴えた。

 大統領は国軍や警察、政府職員、国会議員たちを喜ばせるために何十億ペソもの大金をばらまいてきたが、貧困者の雇用創出のためには財源を充ててこなかった。 

 これは怠慢としか言いようがない。大統領は最終的に悲劇の責任を負う一人になるべきだ。(8日、インクワイアラー、ニール・クルス氏) 

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