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1月9日のまにら新聞から

元大統領のシグナル

[ 692字|2006.1.9|社会 (society)|新聞論調 ]

ラモス氏の真意は何か

 ラモス元大統領の「愛情」は誰に向けられているのか。その答えをめぐるさまざまな推測が飛び交っている。ドリロン上院議長らと秘密会談やエルミタ官房長官との会合などを通して、元大統領の送る複雑なシグナルが新たな推測を生んでいる。

 エストラダ前大統領陣営からは「大統領経験者三人の連携」と「暫定政府樹立」を呼び掛ける声も出ているが、果たして元大統領はこれに応えるのか。

 アキノ元大統領とその後継者ラモス元大統領の連携は可能だろう。しかし、両者とエストラダ前大統領の連携は別物だ。アキノ元大統領はおそらく不本意ながらも前大統領との連携を飲むだろうが、ラモス元大統領は違う。

 前大統領サイドの呼び掛けに関し、ラモス元大統領は最近、こう明言した。「わたしに『加われ』と言う前に、なぜ君らはもっとよいことをしないのか。一つのフィリピンを創出するため、君らがわたしに加わるのだ」

 愛情の行方を探るヒントはこのコメントにある。元大統領は連携や連合よりも「戴冠」を望んでいるのだ。

 〇五年七月の政治危機前、ラモス元大統領は孤立し、周囲の注目を集めることを渇望していたという。周りにいるのは使用人一人か、数人のゴルフ友達だけだった。

 しかし、改憲提唱でアロヨ大統領の危機を救った直後から状況は急転し、周囲は元大統領を大いにあがめ、ゴルフに付き添う従者となった。元大統領は再び「大統領」になったのだ。

 果たして元大統領は周囲におべっか者を集め、マスコミに注目されるためだけに「複雑なシグナル」を送り続けているのか。それとも切り札になり得る何かを密かに用意しているのか。 (6日・インクワイアラー)

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