ハロハロ
年の瀬が迫ってきた。フィリピンで今年起きた日本人の殺害事件は五件。未遂や殺人と断定しきれない事件は他にもある。一応、解決をみたのはわずか一件。容疑者が捕まり、裁きの庭に引き出されたケースは無かった。今さら比捜査機関の弱体を嘆く気にもならないが、後味が悪いのは被害者周辺で日本人がからんだ場合だ。警察への協力もそこそこに、あるいは避けて帰国してしまった例がある。
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掛かり合いを嫌がる気持ちはわかる。しかし、真実に迫るため捜査に協力するのが、せめてもの被害者への供養ではなかろうか。会社の同僚が殺されても、野辺の送りもせずに帰国を急ぐ。義理人情は日本人の美徳といわれたものだが、もはや死語になったしまったようだ。刑事事件はテロを含め、グローバル化している。日本人が海外を舞台に犯罪を仕掛けることもままある。
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フィリピンはその格好の犯行場所という感すらある。ところが、捜査は属地主義をかたくなに守り、日本人が外国で殺されても本国の警察は知らん顔。米国がレイプ事件の容疑がかかった兵士すら身柄を比側に渡さないのとは大違いだ。現場での指紋採取すら怠る比警察に数億円もする指紋識別装置を提供したりする前に、日本政府がやることはないのだろうか。 (水)