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3月7日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 522字|2005.3.7|社会 (society)|ハロハロ ]

 どういう訳か、「耳よりな話」というのは、いつまでもじっと胸に納めておけないものらしい。そこで披露すると——。「このシミは落ちません」と付せんがついてクリーニング店から戻ってきたワイシャツの黄ばみをメードがいとも簡単に消してくれたという話。大家族の家庭に伝わる生活の知恵を見る思い。フィリピン版「おばあさんの知恵袋」とでも言おうか。

 ある日の夕刻。アイロンを掛け終わったワイシャツをメードが持ってきた。クリーニング店から戻されてきたものだが、黄ばんでいた襟元は見違えるように真っ白。「洗剤を溶かした水に漬けて一日、太陽の光に当てておいただけです。おばあさんがこのようにやってました」とメード。横で運転手が「私の家では母が同じことをしていました」とうなずく。

 フィリピンには、さまざまな生活の知恵が家庭で言い伝えられている。健康管理も民間療法が多い。アフリカのある国の話だが、おばあさんが亡くなると、「図書館が一つなくなった」と言うと聞いたことがある。夫婦と子供だけの核家族が主流の日本では、祖母から母、母から娘に言い伝えられる生活の知恵はもう望むべくもない。「おばあさんの知恵袋」は書店の本棚にしかない。 (濱)

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