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1月31日のまにら新聞から

間違った希望

[ 661字|2005.1.31|社会 (society)|新聞論調 ]

芸能人入国規制強化

 約七万八千人のエンターテイナーがまもなく日本での仕事を失うことになる。しかし、ブニエ報道長官は、日本で働くフィリピン人の総数は変化しないだろう、と言う。芸能人の代わりに、看護師や介護福祉士などの医療技術者が渡ることになる、と。

 だが、比人が実際に従事できるそのような仕事は現在日本国内にはなく、これからもおそらくないだろう。

 報道長官は、おそらく二〇〇四年十一月に小泉首相とアロヨ大統領の間で合意に達した自由貿易協定(FTA)のことを言っているのだろうが、問題のすり替えとしか聞こえない。

 実際、合意後すぐに政府から発表された数字は、たった二百人の看護師雇用ということだけだった。七万八千人の医療従事者が日本へ押し掛ける、という話はどこからも聞こえてこない。その一方で、今後六カ月以内に日本国内の芸能人が次々と帰国するのだ。

 七万八千人の芸能人のうち、①二年に及ぶ専門的なトレーニング②日本以外での二年以上の芸能活動︱︱という条件をクリアできるのは、はたして何人いるのだろうか?

 どちらにせよ、二十五万人近くの人たちが一瞬にして収入手段を失うのは間違いない。

 政府は日本に対して入国規制強化の猶予期間を求めて来たが、それを日本側が受け入れる可能性は失われつつある。問題は日本政府が人身売買として対処しようとしていることであり、米国からも、「人身売買の国」としてリストアップされていることにある。

 真実は痛ましいものかもしれない。しかしそこから目をそらそうとすることは何の解決にもならない。(25日・マラヤ)

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