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1月24日のまにら新聞から

どうする再発防止

[ 698字|2005.1.24|社会 (society)|新聞論調 ]

警官銃乱射事件

 アクラン州のサント・ニーニョ祭りで警備中のジョナサン・モレノ一級巡査が突如銃を乱射、同僚警官五人と女児一人を殺害した。この事件に対し、比国家警察は「制度改正や調査実施の必要がある」と対応、お茶を濁した。制度改正とは、警官の心理状態や薬物使用の検査というありきたりな方法の採用にすぎない。

 同巡査は突然発狂したようだ。州警察本部長は背後から四発もの銃弾を浴びた。彼の行動は、上司に対する恨みともとれる。巡査は精神的に圧迫されていた。だが、なぜこのような形で抑圧に反応したのか。

 国家警察が直面しているのは、事件の真相究明だけでなく、警官の採用方法についての問題である。

 モレノ巡査は警官採用試験には合格した。彼は麻薬密売組織のボス逮捕事件の目撃者で、密売組織に脅されていた。このような状態で勤務継続が可能か、国家警察は検討したのだろうか。これまでの対応は警察の組織力の弱さを露呈した。現行制度を見直す仕組みが整っていない。

 国民に好感されているアグリパイ国家警察長官だが、今回の災難の原因を調査し再発を回避するための方策は持ち合わせていないようだ。

 ラモス元大統領の時代に、国家警察は再編された。以来、警察は変ぼうを遂げてきた。マルコス戒厳令時代の旧世代は退職し、今や新世代が中枢を占めている。

 警官採用に当たっては、薬物中毒検査や心理テストに加え、人柄を見極める必要がある。採用後のその変化もモニターして行かねばならない。

 モレノ巡査の発砲原因の追及は、再発防止につながる。国家警察は精神的圧迫の状況下におかれた警官の心理状態の観察を怠ってはならない。(19日・インクワイアラー)

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