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11月1日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 497字|2004.11.1|社会 (society)|ハロハロ ]

 眼光だけは映像で表現できない。一流政治家と相対してわかる。目は心の窓というが、気魂のようなものがあふれ、圧倒してくる。自分の数少ない経験では戦争をまたいで活躍した岸信介氏が最もこわかった。ギョロ眼と視線が合うとぞっとした。大平正芳氏の半眼には重力があった。凍るような冷たさを覚えたのは竹下登氏だった。

 アジア地域ではかみそりのようなリー・クアンユー氏の眼、フクロウそっくりの非情なホメイニ師の眼。亡命中だった金大中氏の眼には異常な粘り気があった。自分の何かを殺した者の凶暴な意志のせつな的な出現か。先日のフィリピン外国人特派員協会会合。アロヨ大統領から数メートルの席にいて「あれ」と思った。相手は気がつかないはずだが、視線が合うと眼光を感じた。

 テレビに映る短躯の美女というだけではない。「国の平安を乱す者には鉄拳を振るう」と叫ぶ激しい演説だったが、女性特有のカンの強さに加えて、荒々しく非情な放射があった。最近、米国のアナリストが「アジアで最も弱い指導者」と決め付けたが、そんなことはあるまい。比女性のしたたかさを伸ばし、六年の任期中にぜひ一流に育ってほしい。そう祈った。(水)

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