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10月18日のまにら新聞から

海運安全への教訓

[ 690字|2004.10.18|社会 (society)|新聞論調 ]

大型客船爆破テロ

 今年二月下旬に起きた大型客船スーパーフェリー14号の洋上火災を「単なる事故」と主張してきた政府が、一転、イスラム過激派、アブサヤフによる爆弾テロ事件と断定した。船に爆弾を仕掛けて百人以上の死者・不明者を出した、フィリピン史上最悪のテロ事件である。

 運輸通信省は十四日、全国の港でアブサヤフの報復攻撃に備えるよう指示した。これを機に、海運の安全確保にもっと力を注ぐべきである。フェリーの火災原因が何であろうと、比国内の海域を航行する船は安全対策をしっかり講じていなければならない。エンジンの点検はもとより、船員の技能保持や貨物の積載法の確認を含むべきだ。過剰乗船や乗客名簿に記載漏れがないよう努めることも大切だ。

 捜査当局はテロリストの捜索を続けているが、一方で港湾関係者への訓練や装備を充実して、どこを監視すべきなのかをきちんと把握させ、爆薬を探知する能力を修得させる必要がある。アブサヤフがフェリー火災の犯人であるとすれば、驚くべきはいかに簡単に犯人が爆発物を商業船に持ち込むことができたかということである。爆発物はテレビに仕掛けられて船内に搬入されたという。荷物検査の不十分さばかりが目立つ。

 こうしたテロ対策の欠陥はしかし、海運業のおざなりな安全対策を知れば、驚くには値しない。フェリー火災の場合はテロという点が新しかっただけだ。過去二十年間に起きた衝突や沈没などの事故の死者は数千人に上る。これほどの数の事故を経験しても、海運の安全はさほど改善していない。関係者が今回のテロ事件を真剣に教訓とし、比の海運事情を本格的に刷新してもらいたいものだ。 (15日・スター)

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