ハロハロ
サッカーのアジア・カップで中国人ファンに露骨な反日行動があった。民族のルサンチマンというか、韓国語の「ハン」(恨)に近い心情かもしれない。祖先の怒りが伏流水になって若い世代に伝わり、時にあふれ出す。二十世紀の前半、他国に出かけて戦争をし続けた日本が標的になるのは当然だろう。
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幸いフィリピン人はこのところ忘れていてくれるが、最近、戦争の古傷が奇妙な場面でうずいた。一つは、豪外相が人質救出のためにイラク派遣部隊を撤収した比国政府を「軟弱」と批判したとき。ジョーカー・アロヨ上院議員は「太平洋戦争では米比部隊が激しく日本軍に抵抗し、ゲリラ戦を挑んだから豪州は守られた」と激怒した。日本はかつてこの国を戦火で焼いた。
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次は、大統領選挙で仲たがいした野党のラクソン、アンガラ両上院議員の舌戦。アンガラ議員がラクソン議員を「マカピリ」呼ばわりしたが、マカピリとは戦争中の対日協力者で比では裏切り者だ。ラクソン氏の立候補が結果としてアロヨ政権成立となった野党領袖(しゅう)の恨みだ。若い世代もこの事実を教科書で学んでいる。フィリピンでは、まだまだ日本の悪いイメージは消えていない。心すべきだと思った。(水)