「遺産」を健忘するな
戒厳令意識調査
パルスアジアが先週発表した戒厳令に関する意識調査によると、回答者の十人のうち六人は国家を悩ませる問題を解決する手段として戒厳令に訴えることを認めないと答えている。戒厳令反対の割合は六二%で、前回調査より九ポイント増えている。しかし、もっと多い八割近い回答者たちは、反対の意志を実際に示したことはないと答えている。
国民たちは政治的不安定さよりも抑圧される方がましだと考えているのだろうか。それとも戒厳令が国にもたらす悪を知らない国民が増えてしまったのだろうか。
一九九九年に開催されたマルコス独裁政権の「遺産」に関する国際会議では、集団的健忘症について議論された。あるパネリストはマルコス家の真実を吟味する政治的意志が欠乏していると述べ、他の参加者は情報へのアクセスが困難なため、政治的良心が働いていないと指摘した。
マルコス政権のもっともはっきりした遺産の一つは、大がかりな経済的略奪だ。ギネスブックにも記載されているように「世界ランクの強奪」が行われ、その被害額は五十億ドルから百億ドル規模に達すると推測されている。
しかし、もっと深刻だったのは、マルコス独裁が国家の魂を枯れさせ、道徳を地に落としたことだ。汚職が生活の一部になってしまったのだ。同会議で米ウィスコンシン大学のマッコイ教授も「国民を守るべき国軍がこの時期に人権侵害者になってしまった」と指摘した。
その他にも表現の自由の抑圧や貧困の拡大、人をだます文化が根付いたことなど戒厳令の「遺産」は数多い。それゆえ、我々はこの政権の犯した罪を決して忘れてはいけない。(23日・インクワイアラー)