ハロハロ
「偽装結婚」という言葉がある。日比間では、比人女性が日本人の配偶者になりすまして日本へ渡り、「入籍料」を男性側に払いながら就労を続けるケースが少なからずある。四年ほど前には「偽花嫁」を送っていた比の日本人業者が入管法違反(違法入国援助)の疑いで愛知県警に逮捕される事件もあった。
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事件で、日本人男性と比人女性を結び付けていたのは金。男性は借金のカタとして戸籍を業者に渡し、業者は「日本で自由に働ける」と女性を集めて売春組織へ送り込んでいた。持ちつ持たれつ。金銭的側面だけを見れば「婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立し」という日本国憲法第二四条の文言に沿っていた。
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フツーの結婚でも何かしらの打算はある。何が偽装か分かったものではないが、年齢差が四十も五十もある純愛日比カップルを目にすると、この事件をつい思い出し「五、十年後はどうなるのかな」と思いめぐらしてしまう。先日、日本人の父を亡くした孤児を取材した時も「愛」の結末の一つを見せられたようで気分が沈んだ。(酒)