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2月17日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 549字|2003.2.17|社会 (society)|ハロハロ ]

 ドイツ技術協力庁(GTZ)が七十を超える途上国で実施している中小零細企業育成事業を最近取材した。フィリピンでは民間財団に事業委託し、全国の非営利団体と提携しながら、独自のプログラムで「起業家精神の何たるか」をたたき込んでいる。パンフレットの中に「押し付け型の指導はしない。受講者の潜在能力をいかに引き出すかに尽力する」との記述を見いだし、久し振りにドイツ人魂に触れる思いがした。

 ドイツ語のドイッチェ(ドイツ人)の起源には「頑固者」との意味があったという。物事に徹底して取り組むことが美徳であり、依存心を捨て、自力で道を開こうと努力する人に

は最大の賛辞が与えられる。優れた技術、経営ノウハウだけでなく、こんなドイツ人精神をどのようにして比人に伝授しようというのか。財団マネージャーは「どんなに少数でも、受講者の成功が社会変革への一穴となると信じる」と話す。

 日本は依然、最大の援助国であるが、「顔が見えない」との批判をぬぐい切れない。対比援助額は一九九〇年代には年間一千億円を上回った。GTZの援助活動は金額ベースでは比較にならないほど小さい。だが、講師らは身の危険を省みず、紛争地にも入り込み、人々と直に触れ合っている。地道に己の道を歩もうとする姿勢に頑固者の真骨頂を見た。(康)

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