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1月27日のまにら新聞から

「汚職との戦い」に期待

[ 714字|2003.1.27|社会 (society)|新聞論調 ]

政権交代2周年

 政権交代から二年が経ったが、エストラダ前政権を倒した「エドサ2」とはいったい何だったのだろう。アロヨ大統領はこの問いに対し、「腐敗した権力者に対する国民の強い意思表示」と答えている。

 大統領の答えは正しい。実際、一時的でも主義主張を越え、さまざまな組織が汚職にまみれた前大統領を倒すことに力を合わせたからだ。

 だが、アロヨ大統領は自分の政権内における汚職との戦いは中断しているかのようだ。前大統領の不正蓄財裁判の進行は極めて遅く、依然として多くの公務員が額に汗せず、わいろで大枚を貯め込んでいる。大統領の夫ホセミゲル・アロヨ氏やペレス前司法長官にまつわる黒いうわさも絶えない。

 予算管理省の調査は、二〇〇一年度の汚職関連による政府損失額は九百五十億ペソに上ると見積もっている。米系調査会社によると徴税漏れ、汚職などで一九六五年から〇一年までに二千五十億ドルが失われている。〇〇年度の世界銀行の調査は最近二十年間の政府の損失額を四百八十億ドルと見積もった。

 このような途方もない金額を挙げても実感がわかないが、九百五十億ペソで五十万戸の安価な住宅、または一万キロの舗装道路の建設費用に相当すると言えば分かりやすい。また二千五十億ドルは、〇一年度の政府債務千百億ドルを全て支払い、残りの金額で政府を五年間運営できる金額に相当する。

 汚職天国とのフィリピンのイメージを解消するためにも汚職との戦いには必ず勝利しなければならない。大統領は残る任期約一年半で「貧困との戦い」に結果を出すのは難しいかも知れない、だが「汚職との戦い」なら勝機はある。これを成し遂げれば歴史に名を残す大統領となるだろう。(22日・インクワイアラー)

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