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12月16日のまにら新聞から

勢いづく汚職

[ 700字|2002.12.16|社会 (society)|新聞論調 ]

NEDA長官の更迭

 政府の最大の懸案は手の施しようがない膨大な財政赤字である。しかし、なぜアロヨ大統領は国家経済開発庁(NEDA)のダンテ・カンラス長官を更迭したのだろう。

 カンラス前長官の失策は、今年の財政赤字を通年目標限度額、千三百億ペソに抑制することができず二千四百億ペソ規模にまで膨張させたことにあるが、それでは一体、前長官の功績とは何であったのだろうか。

 実際、経済政策に誤りがあったのにもかかわらず、控えめながら経済成長を実現できたのは、NEDAが経済の基礎条件(ファンダメンタルズ)分析という任務を果たし、潜在成長力を最大限に引き出す施策を打ち出してきたからにほかならない。

 前長官の更迭は、アロヨ政権が経済運営の根幹をマクロ経済からミクロ経済へと転換したことを劇的に演出した。マクロ経済が需要を喚起する施策なのに対し、今後は特定の産業や企業の競争力強化を支援したり、生産性を向上させるといった供給側に立った施策を選択したことになる。

 大統領は今後の経済運営について、資金調達の円滑化や事業コストの削減などによる中小企業の育成を挙げた。ロムロ・ネリ新長官が任に当たるが、新長官は前職の下院予算計画室時代から、政府による大規模な貧困層への住宅供給政策に携わっており、この政策は一層強化されることになるだろう。

 投資や資金供給先を政府が決定することになるが、結果的には、再び特定の産業や企業への保護、干渉政策へとつながってしまいそうだ。

 もちろん、政府が利権の分配装置として機能することは、汚職の機会がさらに増えることを意味する。結局、それこそがアロヨ政権の筋書きなのである。(14日・マラヤ) 

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